時は20XX年の日本。人工知能が発達し、車社会は最新の技術により大きな変化を遂げていた。
街の車のほとんどはオートメーション化が進み、ナビゲーションシステムに行先を告げれば最短の道のりを計算し、目的地まで安全に移動することが出来るようになった。
つまりは、自分が運転しなくても良い時代になり、逆説的に言うならば、その完璧で安全なシステム構造の中で、自分で運転免許を取得し運転する者を、交通事故を起こすリスクのある異分子として世の中は警戒感を持つようになっていた。
そんな時代のとある教習所に、今年も免許取得のためにやってきた者たちがいた。教習所ではアンケートが行われ、彼らが何故に免許を取りきたのか、また、なぜそんな危険を顧みずに来たのか調査されることになった。
教習所生徒・藤沢 走り屋、免許取り消し処分者。
- この教習所に通うおうと思ったきっかけは何ですか?
- あ、わたくしは免停になってしまいまして、免許取り消しになってしまい、あらためて再び運転したいと思ったためにこの教習所にやってきました。
- どういった違反をしたんですか?
- スピード違反ですね。
- 何キロくらい出しましたか?
- 40キくらいのところで120キロくらい出してしまいました。
- この教習所がどういうところか、口コミとかで知っていますか?
- すぐに免許がとれるところだと聞きました。私は宅配便のバイトをやっていたんですね。免許がないと大変なことになるので、それでここに。だから今は無職です。
- 親とか友人から免許を取ることについてなんと言われてますか?
- 馬鹿だね~って言われてます。あとは絶滅危惧種とも。
- 年齢は?
- 35歳です
- 趣味は?
- 車が本当に好きで、免許があったときにはよく峠を流してました。
- 出身地は?
- 群馬県です。
- 特技は?
- 豆腐作りです。あとドリフトです。
- 近頃の交通事情について何かご意見はありますか?
- そうですね。なんかほとんどの車が人工知能による自動運転になってきてるじゃないですか。まあ、スムーズちゃ、スムーズなんですけど、スリルがないなって感じですね。僕はスリルしか求めてませんから。
- 免許を再度取得したら、どこに行きたいですか?
- 峠に行きたいですね。
- 今どき免許をとることについて偏見の目で見られるかもしれませんが、それについては?
- それは大変辛いですね。
- この国で出していい最高速度って何キロだと思いますか?
- 400キロくらいいけるんじゃないですか。
- 免許がとれたら何に生かしたいですか?
- 証明書。
- 教習所の合宿で友達とか作りたいと思っていますか?
- まあ、仲良くやりたいと思っています。
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