2023.8.10 Thu

キャラクターインタビュー スペシャル企画

シャッフルステップ警部(2)

一部では知られているシャッフルステップ警部の意外な一面。それは人並み外れた愛犬家である。ということである。仕事は鬼のようにこなすものの、いざ、犬と対面するやいなや人格が豹変。とほうもない愛犬家の側面を周囲に隠すことなく披露し、回りを苦笑いで困惑させることが多々あるという。

そして愛犬家の警部だからこそ、人智を超えた怒り心頭に発す。という事件が起きた。それがいわゆる愛犬家放火殺人事件である。

この事件の無残さは凄まじく、愛犬家と共に3匹の犬が犠牲となった。放火殺人ではあるものの物的証拠が少なく、犯人の割り出しが難航する事件となった。

また、この事件が犬をターゲットにしていたこともシャッフルステップ警部の勘に触ることになった。あきらかに犯人は偶然家にいた犬を犠牲にしたわけではなく、愛犬家と共に犬を葬り去る計画のもと事件を起こしていたのである。

絶対に許さんと、いつにも増してヘビースモーカーのシャッフルステップ警部は、喫煙室で二酸化炭素ニコチン中毒で命を落とすのではないかというほどに喫煙室に篭もり犯人の割り出しに夜通し推理する日か幾日も続いたという。

これは愛犬家としての自分自身への陰惨な挑戦と受け止め、警察組織の威信にかけて、犯人を絶対に検挙しなければならないと固く心に誓ったという。

この事件について回想していただくことになった。この事件を思い出すたびに胸が張り裂けそうになると言うシャッフルステップ警部。最近はほとんどない非番の日は、実家の犬の世話しかしていないと豪語されていたが、やはり、日々事件に接する中でも、特に心身が摩耗したこの事件について、伏し目勝ちに語られはじめた。これは一般には表に出ない警察広報誌においてである。

犬について、犬を愛する気持ちについて、見解をお願いします。
彼らのね、真っすぐな瞳にはね、何も太刀打ち出来ないよね。彼らの心にね、どうか応えてあげられますように、と問答無用に尽くしたくなるだけですから。
もし、ご自身の愛犬の命が狙われたとしたら、どうしますか?
容赦しない。
この事件は、愛犬家に向けられた嫉妬が原因でした。世の中、人の幸せを妬む人が一定数いるようです。しかし、命を奪うまでの凶行に走るのは尋常ではありません。人の幸せを妬む。これについてはどうお考えですか?
妬みや嫉み、そういった感情は人間誰しも抱くものですが、それをどうコントロールするかが人間の肝ですよ。
誰でも、羨ましい。と思うまでは自然かもしれませんが、その幸せを凶行によって否定する事は社会的に許されていません。しかし、この事件は一線を越えてしまった。憎悪によって惨劇が起こりました。犯人は社会格差を訴えていますが、それについてはいかがでしょうか?
正しい方法で訴えなければ意味はないね。
犯人と愛犬家は直接的な面識はありませんでしたが、愛犬家の里中孝次郎さんは、愛犬家として有名人でした。テレビや雑誌でも取り扱われ、社会的にも成功している人でした。だから、犯人はよく里中さんを知っていたのです。しかし、里中さんは犯人とは面識がないようでした。これについては、どうお考えでしょうか?
そりゃそうだろ、不特定多数に個人情報ばらまいてるんだから。今はさ、SNSとかで気軽に個人情報を公開する人が多いけれど、そういったリスクも少し考えるべきですよ。
当初この放火事件の犯人探しは難航したと言われています。犯人は知能犯でした。計画的に証拠を消し去り、うやむやにして逃げようとしていたのです。しかし、張り込みの鬼とも言われているシャッフルステップ警部が捜査を担当することになった。これが犯人にとっての致命傷になりました。警部の鬼気迫る捜査があったとされていますが、そのエピソードを一つ教えてください。
どの捜査にも真摯に立ち向かっている訳ですが、やはり飼われていた犬たちが気がかりだったね。子供と同じで、彼らにはいざとなっても成す術がないですから。
署内でも愛犬家として知られるシャッフルステップ警部ですが、やはり、この事件。ことさら他人事には思えなかったという事でしょうか?
ですな。
愛犬家と共に罪のなかった犬たちの無念さとはどういうものでしょうか。
酷い話だよ。人に命を奪われるっていう理不尽さは、どんな事件でも辛いですよ。
犯人は事前に用意周到に下調べをしていたようですね。防犯カメラの位置。そして里中さんスケジュールなどを、これもネットのブログやツイッターなどで把握していたようです。この執着心は異常で、犯人の部屋にも綿密な計画に使われた様々なものがありました。完全に、足取りを消した放火殺人を実行しようとしていたのです。この異常心理について、どう思われますか?
犯人に特段知性がなくとも、SNSなどで個人情報を公開したりしていると犯行の計画を立てやすくなりますよ。それに加え、相手の情報を多く知っているという優位性や、愛着心からの執着心が肥大するんでしょうね。「異常」ではなく、昨今はそういう思考で犯罪を犯す者が非常に多い印象です。
この事件は真夜中に起きました。火が上がってから、全焼に至るまでの時間も短く、里中さんと犬たちは逃げる暇なかった。それも緻密に計算されていたかのように。犯人は自然消滅する時限式発火装置を使いました。だから、真夜中の現場に彼はいなかったのです。発火装置は完璧なもので、これは計画には残っていますが、現場では消滅していました。だから捜査が難航したと聞きます。しかし自然発火とも当初から考えられにくく、警察は周辺付近で情報を集めましたね?
捜査情報は控えさせて頂きますよ。
このように手のこんだことを考えられる頭脳があるのに犯罪に手を染めてしまう心理。そして一方的な憎悪。これをどのように社会的に防犯していけばいいと思いますか?
永遠に続くイタチごっこな訳ですが…ご自身の危機管理を風潮に合わせレベルアップして頂くのはもちろん、我々が徹底して守るしかないと強く思っています。
犯人は優秀な大学の理工学部を中退していました。その後、非正規の職を転々としたようですが、うまくいかなかったと供述しています。人生がうまくいかなくなったから他人を悲劇に巻き込むというのはどういう考えだと思いますか?
正直どうかしているとしか思えないね。知能は高いかもしれないが、考え方が幼稚だよ。
しかも、この犯人は完全犯罪を目論み、罪から逃れようとさえしています。犯人の自供では、自分に本質的な罪はない。とさえ言っています。これについては、どういう見解をお持ちですか?
「自分は悪くない」それで他人の命を奪うって…言うとね、犯罪者の思考としては多いんですけどね、他人のせいにするって考え方は。
自分の苦労や失敗については傷ついているのに、他人に被害を与え、命さえも奪った上での発言です。他者に対する感情が完全に歪んでいると思いませんか?
そのとーり。
また、愛犬家の犬たちを犠牲にするのも計画されていました。幸せの全てを破壊する。という脅迫観念で動いていたようです。この計画が犯人検挙と共に明らかにされた時、どのような気持ちになりましたか?
胸が詰まる想いが…したね…。
この犯人を気持ち悪いと思う視聴者や読者がたくさんいたようです。また、このような犯人に眼をつけられたら怖いと思う人もたくさんいました。SNSなど個人情報が拡散され、ターゲットにされやすい時代です。日頃からどのような意識が必要だと思いますか?
どうか控え目に、と申し上げるしかありません。
また、この犯人への尋問をされたようですが、その時彼はどのような印象でしたか?
見た目はどこにでも居る、ごくごく普通男でね。そこがまた、やるせない気持ちになりますよ。
彼は自分のような人間は社会に一定数いる。という認識のようで、そして、このようなことは、まだまだ起きるとも発言しています。これは社会学的見地の領域ですが、社会として、このような事件を防ぐため、どのような取り組みが必要だと思いますか?
先ほど申し上げた通り、ご自身の危機管理を風潮に合わせレベルアップして頂くのはもちろん、我々が徹底して守るしかないと強く思っています。そして「社会に一定数いる」などと仕方のない事ように認める事を辞めるべきですね。
今の日本の社会構造が一定数、このような人間を作り出す構造になっている。という認識はありますか?
ないですよ。私は人間を信じています。
有名人になるにしても、社会的にこのような犯人にターゲットされてしまうことが続くとしたら、やはりセキュリティーの面で、様々な改革が必要かと思います。警察として、推奨することはなんですか?
家の周りで言えば「防犯カメラ」はやはり犯罪の抑止効果は高いですよ。
現代も防犯カメラやドライブレコーダーなど、セキュリティーは日々進化していますが、知能犯も、その網をかいくぐることにスリルを覚え、そして、その死角を突いて、完全犯罪を達成する事が、ある意味彼らにとっての勝利を意味する。という認識が、この事件の犯人にもあったようです。この手の勝利と警察の威信は真っ向から対峙するものですが、未解決事件も数多くあります。それについてはいかでしょうか?
どんな犯罪でも、犯人は我々の死角を突いてくるんだ。簡単に勝利宣言など上げさせないようしぶとく立ち向かいますよ。
未解決になりかけた、この事件。周辺付近での地道な聞き込みや、絞り込みなど、犯人が消した証拠以外に手がかりがないか、綿密に調べ上げていきましたね。やはり、調べれば調べるほど、この犯人が画策した事件の悪質さや巧妙さが暴かれていったのでしょうか?
一つだけ話しておくと、被害者が飼っていた犬の一匹、ミニチュアシュナウザーだったんだが重要な証拠を握っていてね。そのお陰で、点と点が繋がり解決の糸口が見えたんだよ…。
犠牲となった愛犬家の里中さんに思いのようなものはありますか?
同じく犬を愛する者同士、ご冥福をお祈りいたします。
この事件は直接的な証拠は現場に残らず、絞り込みによって犯人を割り出した。と聞きます。これは長年の経験が生かされたということでしょうか?
そのとーり!と言いたいところだが、仲間との連携があってこそです。
犯人は検挙されても、失った命までは取り戻せません。犯人にはどのような償いを望みますか?
他人のせいにするのではなく「他人の役に立つ」生き方が出来るよう、悔い改めて欲しいですね。
最後に里中さんの愛犬たちにも、愛犬家のシャッフルステップ警部からメッセージがあればお願いします。
そのうち行くから、一緒に走ろうな!